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Primorye-The
Maritime Region of Russia
こんな伝承がある。「神は世界を創造し、全ての土地にそれぞれ違った宝
物お与えになられたが、沿海州のことをお忘れになられた。神が沿海州のこ
とを思い出されたとき、袋に残った宝物すべてを沿海州にお与えになった」
沿海州に横たわるウスーリ地方の深い森(タイガ)を知るものは、この伝
承を感慨深く受けとめる。ウスーリ地方には無数の動植物がその種をはぐく
み、針葉樹林がつるに巻かれ、あたかもおとぎ話に迷い込んだかのような光
景をつくりだしている。
沿海州の地理的な特徴は、太平洋岸に位置し、山々に覆われているところに
ある。地表の77パーセントがシホテアリン山脈である。
ハンカ盆地は地域の穀倉地帯であり、沿海州で最も大きい平地である。
ウスーリ地方には、沿海州で最も大きく、航行可能な唯一の川が走ってい
る。ちなみに、「ウスーリ」とは中国語とトゥングース語で「水」を意味す
る言葉を組み合わせてできた合成語である。
木材産業や漁業といった沿海州の主たる産業に果たす、川の役割は大きい。
その経済的な重要性はいうに及ばず、大小の川の美しさ、そしてウスーリの
タイガの幻想的な空気に、我々は心を打たれずにはいられない。
ウスーリのタイガには、カラマツ、トウヒ、紅葉、白樺、種々のナッツ、セ
イヨウトネリコ、アムール・ライ ラック、チェリー、シャクナゲなど、
250の木々と低木を含む2000種類の植物が生息している。
また、中には他の地域では見られない希少種も多く生息している。地元では
ヒマラヤスギとして知られ、樹皮が美しいピンク色をしていることから「赤
マツ」と呼ばれる「朝鮮マツ」は非常にめずらしく、価値のある植物であ
る。この朝鮮マツの実は、くるみよりも多くの油分を含み、オリーブオイル
よりも質の高い油が作られる。また、木甲板や家の建築につかわれる最高級
木材とみなされている。
また、30種を越える樺の木材が沿海州で生産されている。中には鋳鉄より
も堅く、水に沈むようなものもある。
ウスーリのタイガでは、「生命の源」として世界中で知られている朝鮮人参
がとれることでも有名である。朝鮮人参は薬用以外にも食用として使われて
いる。Schizandra Chinensisは、ツル性植物で、 根っこがレモンのにおいがし、
ビタミンCの宝庫である。痛みや疲れを瞬時に癒す効用で知られている。
ハンカ湖は中国との国境に位置する沿海州の主要な水源であり、蓮などの水
生植物も多い。
沿海州の動物相もまたユニークである。
ウスーリのタイガはシベリアン・虎(ウスーリ・虎とも呼ば
れ)、アムール豹、ヒマラヤ熊などの希少種にとって、最適な生活環境とな
っている。
沿海州の手工芸職人は、シベリアン・虎を「アンバ」と呼び、人性
を持った存在として神聖化している。シベリアン・虎の頭部に見られ
る縞地の紋様は、中国語で「神」を意味している。シベリアン・虎
は、やはり神格化され、崇拝の対象となっているインド虎にくらべてさらに
大きい。成獣で体長3メートル、体高1.5メートル、体重は250-300
キログラムにまで達する。氷点下40度を越える厳寒のウスーリのタイガに
生き抜く力を、その巨大な体に秘めている。
沿海州にはその他の有蹄動物、トナカイ、鹿、猪など、も多く生息している。
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